今年の問題は数学ⅠAが易しめ、ⅡBがやや難しかったという受験生が多かったようです。
ただ教科書をきちんと読んでいる受験生にとっては
どちらもそれほど難しいという印象は受けなかったと思います。
さて、詳しい内容を見ていきましょう。
数学ⅠA
全体としては確率が解きやすかったと思います。
ただ図形の部分で図形的な処理ができたかで問題の内容理解のスピードが変わってきたと思います。
ⅡBのベクトルでもそうですが、丁寧に図を描くことが大切です。
第1問〔2〕 論理と集合
まず最初に点を落とす可能性がある問題です。
実際9割得点した生徒でもここを落とした受験生がいました。
まずは用語の定義をきちんと確認しておいてください。
条件pに対して、「pでない」という条件を条件pの否定 といいます。
こうやって書くと当たり前のことに聞こえますが、数式できちんと理解しておきましょう。
「x=0 かつ y=0」 の否定は 「x≠0 または y≠0」
「x>0 または y>0」 の否定は 「x≦0 かつ y≦0」
「かつ」、「または」の否定は大丈夫でしたか?
逆・裏・対偶についても教科書で確認しておいてください。
次に混乱してしまう人が多い必要十分条件です。
2つの条件p, qにおいて、 p ⇒ q が真であるとき、
pはqであるための十分条件である
qはpであるための必要条件である (q←p)
自然数m, nという条件を忘れないように。
第3問
後半に作図能力が問われているので、正確な図形を描けたかが勝負だったと思います。
新課程では作図が新たに教科書に加わりますので、
こういった図形的な要素はますます重要になると思われます。
方べきの定理はセンター試験必須です。
定理1 円の2つの弦AB,CDの交点、またはそれらの延長の交点をPとすると
PA・PB=PC・PD
定理2 円の外部の点Pから円に引いた接線の接点をTとする。
Pを通ってこの円と2点A,Bで交わる直線を引くと
PA・PB=PTの2乗
数学ⅡB
特にⅡBに関しては、毎回の試験でそうですが、問題の見極めが重要です。
7、8割の得点を目指す受験生にとっては捨てるべき問題を見極め
得点すべき問題に注力できたかが勝負でした。
2次試験では当然のことですが、取り組むべき問題を判断する分析力が必要です。
このセンター試験数学ⅡBでもその要素は多少あります。
今回の問題でいうと、
第1問〔2〕三角関数、第2問(3)の面積計算、あるいはベクトルの最後の計算問題
がそれに当たります。
分かってしまえば簡単ですが、本番で気づけないとあせってしまうのがこれらの問題です。
これらの問題を落としたとしても7割~8割には届きます。
大きな失敗をしないために、全体を見渡して問題を分析する力を身につけたいものです。
第1問〔2〕三角関数
ⅠAでも言いましたが、とにかく教科書を読んでください。
この問題も決して難問ではありません。
公式を覚える際に理解が必要だという話をよくしますが、
この問題はその本質的な理解の部分を問うているだけの問題です。
sin( θ+π)=-sinθ cos(θ+π)=-cosθ
sin(θ+π/2)=cosθ cos(θ+π/2)=-sinθ
π:パイ
上記の公式の証明が教科書にあります。その数式が持つ図形的意味
を理解していれば、今回の問題(sinα=cos2β)も同じように解くことができます。
難問だとされる問題が、教科書に書いてある内容の理解を試しているというのはよくあることです。
この機会に教科書をもう1度教科書を手元において学習することをおススメします。
第2問 微積分
最後の面積計算に工夫が必要です。
ただこれも図形的な糸口が見えれば、アッサリ解けてしまいます。
ただ単に計算でなんとかしようとしないことです。泥沼にはまってしまったら、
60分という試験時間があっという間に終わってしまいます。
放物線を2つ書いてみて、どちらかを平行移動したらピッタリ一致することを考えると
放物線の交点は各頂点の中点であることがわかります。
あとは計算してもたいして労力はかからないはずです。
やはりセンター数学は条件の特殊性に気づけるかが勝負です。
第3問 数列・漸化式
この漸化式はf(n+1)=〇×f(n)の形を作って解くという基本的なパターンです。
そこにnの項が入っているだけで、特に問題はないでしょう。
満点を取るべき問題です。
第4問 ベクトル
計算量が多いので、
図形的なイメージと条件の特殊性(ここでは垂直条件)を利用できたかです。
問題文からかなりの点が登場しますので、丁寧に図に描いてください。
やはり垂直条件があるため、内積=0を使うのだろうな~という予想して
最後の計算に取り組めばだいぶラクに解けてしまう問題でした。
以上から、センター数学は
図形的処理ができるか、条件の特殊性に気づけるか
が問われている試験であるということが言えます。
やはり練習を積まなければ得点できないので、
この2つの力を磨きあげることを目標に過去問、マーク模試に挑んでください!
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